注目校インタビュー
頌栄女子学院中学校高等学校-学校インタビュー
四谷進学会プロ家庭教師センター(以下、四谷):今回は、頌栄女子学院中学校高等学校で広報部長を務めていらっしゃる湯原先生にお話しを伺います。どうぞよろしくお願いいたします。
湯原:よろしくお願いします。
四谷:まず、頌栄女子学院の教育について、お伺いできますでしょうか。
湯原:それでは、本校の沿革からお話させて頂きます。本校は明治17年創立ですので、今年132年目になります。当時のキリスト教主義の学校というと海外の宣教団(ミッション)が設立した学校が多いですが、本校の創立者である岡見清到(おかみきよむね)が、「日本人による日本人のためのキリスト教学校」として創立しました。建学以来、「男女は同権なれども同質ならず」という観点で、女子のための教育を行っています。
本校の学院標語としては「讃美」と「奉仕」を掲げています。いずれもキリスト教に関する言葉ですが、「讃美」は神様の栄光を褒め称えるということで、本校の名前の由来でもある「頌栄」につながる考え方でもあります。ちなみにこの「頌栄」という言葉は讃美歌のタイトルの中にも見られます。「奉仕」については、自分を知り、他人を知り、そして社会を知ることで、他者や社会に奉仕することのできる人間を育てること、そのためには、中高の6年間を通じて、自分が神様から授かったタレント(才能)や賜物を何らかの形で発見して欲しいと考えています。この2つの言葉を基盤とした教育を理念としています。
四谷:「男女が同質ではない」の意味はなんですか?
湯原:男子と女子では思考回路が違いますよね。例えば、中学生の教育を見ていくと抽象的な概念を理解するのは、一般的に女子よりも男子の方が得意だと思います。中学生であれば、抽象的概念の前に具体的な事象を中心に教えてゆく。これは一例ですが、性別の違いによって教育の仕方が異なるので、女子にふさわしい教養を身につけさせるためには、女子だけの教育が理想と考えています。何かを強制させることはありませんが、学生生活を過ごしていく中で、個々で自分の役割を徐々に理解していきます。共学校の場合は、男子生徒がやることと、女子生徒がやることで役割分担が自然と決まることがあると思いますが、女子校の場合はそれがありません。力仕事や裏方の仕事も自分たちでやらなければならない。そのようなことから、自分の立ち位置が見えてくると考えています。
四谷:女子生徒向けの具体的な取り組みはありますか?
湯原:生徒には女子にふさわしい教養を身につけて欲しいと思っています。教養については、学力だけでなく、「高雅な品性」や「豊かな国際感覚の涵養」「社会のために貢献奉仕できる人格形成」が必要だと考えています。「高雅な品性」を育てる上で、情操教育に力を入れています。例えば、テーブルマナー等の洋式礼法や、風呂敷の折り方や襖の開け方等の和式礼法も授業として行っています。頌栄で過ごす6年間では、女性としてのたしなみの部分も身につけて欲しいと思っています。そのため、校則は多少厳しめにしている所もあります。躾も教育の一環として、しっかりと指導しています。「豊かな国際感覚の涵養」では、帰国生との触れ合いが挙げられます。全体の約20~25%の生徒が海外からの帰国生ですので、海外の異文化経験を持った帰国生と触れ合うことで、自然と一般生も国際的な感覚の一端に触れると思っております。
四谷:これほど帰国生の割合が多い学校は、多くありません。
湯原:そうかも知れません。帰国生の受け入れを本格的にやり出したのは、約30年前からです。それ以降、帰国生が全体の10%程度の時もありましたが、様々な結果から検証して、今の約20~25%が最も良いバランスだと考え、現在の募集人員に落ち着きました。
四谷:帰国生と一般生はクラス分けしているのですか?
湯原:帰国生と一般生の混合クラスが出来るように編成しています。具体的には、各学年の帰国生を3つのクラスに分けて、そこに一般生と組ませて、混合クラスを編成します。そうすることで、混合クラスが3クラス、一般生だけのクラスが2クラスとなり、合計5クラスというのが1学年のクラス編成です。ただ、毎年学年が上がるごとにクラス替えをしていますので、一般生は3年間に1回程度は、必ず混合クラスになり、高校に上がる時には、全員が一度は混合クラスを経験します。
四谷:混合クラスと一般クラスとの違いはなんですか?
湯原:高校生になれば、全員が混合クラスを経験しているので、クラスごとの差はあまりありません。ただ、中学1年では混合クラスと一般クラスでは雰囲気が全然違います。やはり、海外で生活してきた帰国生と日本で生活してきた一般生とでは文化が違います。帰国生は自分の意見を率直に言える生徒が多く、アピール力に長けています。友達や教員への挨拶の仕方や呼び方も、フランクで距離感がとても近いという特徴が見られます。逆に一般生は、そのように突出したことをする生徒は少ないです。一緒に生活していくうちに帰国生は、日本の風土や習慣を一般生から学び、押さえるべきところを理解していく。一般生も帰国生の積極的な部分を学んでいきますので、帰国生と一般生とが触れ合うことで良い意味で混ざり合っていくのが分かります。
四谷:それだけ違いがあると、打ち解けるまで大変ではないですか?
湯原:もちろん中学1年の最初は、混合クラスでは帰国生と一般生とはグループが分かれることもありますが、5月にキャンプがあるので、そこで距離が一気に縮まります。中1のキャンプは、本校の寮がある山田牧場(南志賀高原)と軽井沢に1泊ずつします。キャンプの中で、自己開示として、今までの自分の経験等を語る時間を設けていますので、そこで徐々にお互いを理解し、打ち解けるきっかけになっています。
四谷:「社会のために貢献奉仕できる人格の形成」についてはいかがでしょうか?
湯原:世の中全体と他人を知ることが凄く大事だと考えています。しかし、世の中を知ったところで自分がどんな人間なのかを知らなければ、何をしていいのか分からない。まず中学段階では、自分とはどういう人間であるかを知ること、これを意識してもらうようにしています。他者との討論や、他者を見ることで自分の事を知ることができます。本校はほぼ全員、大学進学を希望するのですが、自分は本当にこういう進路に行きたいのか、何のためにその進路に行きたいのか、そして進学して卒業した後、どんな人間になりたいのかを、中高6年間の間に気付いてもらうようにキャリア教育を行っています。
四谷:自分の事を知るためには、何が大事なのでしょうか?
湯原:様々な価値観を持つ他者と触れ合う、語り合う場があるということが大事だと考えています。本校では、帰国生も多くいますし、様々な価値観に触れる環境としては整っていると思います。その中で、自分の進みたい道を見つけて欲しいと思っています。高校2年の段階で文理に分かれますので、その時点で目指す大学や道が決まるようにサポートしています。大学を卒業してからのロードマップも自分で描けるように、高校生のうちから具体的に自分の言葉で文章で表現する機会も設けています。学校としての「理想の生徒像」はありません。ただ、自分の将来の道を自分で考え、それに向けて行動できる生徒になって欲しいと思っています。卒業した生徒が何年経っても戻ってくるような、いわば本校をホームとするような雰囲気のある学校です。これから受験を考えられる方は、是非一度来校してもらえれば雰囲気が掴めると思います。
頌栄の英語教育
英語については、混合クラスの場合は、1クラスを帰国生だけで1クラス、残りの一般生だけで1クラス、一般生のみのクラスは2つに分けて、各クラス20名前後の少人数制で授業を行っています。頌栄では英語が最も力を入れている科目の一つですが、ただ新しいことを進めるのではなく、基礎を徹底してやるように心掛けています。中学の早い段階から基礎4技能(聞く・話す・読む・書く)をしっかりと身につけられるようにしています。英語は週に4時間の通常授業の他に、ネイティブスピーカーによる英会話も2時間行っています。
英検も出来る限り受けるよう推奨しており、中学3年生の終了段階で、一般生は準2級を目指すようにしています。平成27年度3月の実績では、中学3年生の一般生は107名が準2級、30名が2級まで合格しました。一般生の約8割が準2級以上を取っているのは、本校の特徴です。学校として英語教育に力を入れているのもありますが、帰国生も多いので、英語があふれる学びやすい環境となり、一般生に良い刺激になっていることも理由の一つです。
本校の帰国生入試は、英語のみの試験なので、帰国生のほとんどが入学時点で英検準1級程度の学力を持っています。高校2年生から英語の授業を習熟度別に切り替えますが、1番上のクラスの大半が帰国生です。一般生が帰国生の英語力に在学中で追い付くのは難しいですが、帰国生の存在が一般生に良い刺激を与え、学校全体としての英語力の底上げに繋がっています。
ウィンチェスター頌栄カレッジ
ウィンチェスター頌栄カレッジ(Winchester Shoei College)は、頌栄女子学院と英国キングアルフレッド大学(現ウィンチェスター大学)との合併により、英国の教育科学省から学校法人としての認可を受け、昭和57年9月に開学した女子学生のための2年制カレッジです。ウィンチェスター頌栄カレッジには、頌栄から推薦入試で優先的に入学できます。本校の寮が、ウィンチェスター大学の横にあるので、そこに寄宿しながら語学コースを学べるため、海外への留学にはなりますが、保護者も安心して送り出せるというメリットがあります。
授業を担当するのは、全てウィンチェスター大学の教師で、少人数制の授業で学生が授業内容を十分に理解出来るようにサポートしています。担当教師による英語相談や、個人指導サポートとして学術的な分野だけでなく、生活面の相談もできます。所定のコースを修了すると、学士課程に進むこともできるため、ほとんどの学生がウィンチェスター頌栄カレッジで2年間学んだ後、さらに2年間掛けてウィンチェスター大学の学位を取得します。卒業生は卓越した英語力を活かし、国際的にも幅広い分野で活躍しています。
コ・ラーナーズ・デイ
頌栄女子学院では、9月にコ・ラーナーズ・デイという研究発表会を開催しています。
ここでは、生徒たちが研究した内容を展示するのが中心で、その他にもクラブの招待試合や、軽食販売なども行っています。主な目的は、教員と生徒が一緒に研究したことを発表するための「共に学ぶ日」という位置づけで、いわゆる文化祭と似ているものの、その本質は全く異なります。運営は生徒会が中心にはなりますが、教員も共に学ぶ場でもあるため、教員も積極的に活動しています。毎年、共通のテーマを決めていますが、東日本大震災の年には、「結(つなぐ)」をテーマに、各クラス多種多様な研究発表を行いました。
部活動
約98%の生徒がいずれかのクラブに所属しています。中高合同でやっているので、上級生が下級生の指導をしています。文化系・体育系合わせて30以上のクラブがあり、世界大会やインターハイ等の常連クラブもあります。
体育系では、弓道部が強く、全国大会に進むこともあります。平成24年に完成した武道場(弓道場)も校舎内にあるので、そこで毎日練習に汗を流しています。
文科系では、キリスト教主義の学校なので聖歌隊が人気です。礼拝で讃美歌を歌って奉仕したり、NHK音楽コンクールにも出場しています。全体で60名近くいる人気の部活です。入学式などでの礼拝でも、聖歌隊が讃美歌を歌って奉仕しています。
珍しい部活として、「模擬国連部」があります。模擬国連大会の本選にも出場している、活気溢れる部活です。また、手話部では、日本語・英語それぞれの手話もやっており、女子校ならではの茶道部・日本舞踊部・箏曲部などの情操の部活なども盛んです。
平成27年度合格実績
中学3年から高校卒業後へ向けて進路相談を行っています。各学年で説明会や卒業生の体験談を聞く会などを設けています。さらに中学1年~高校2年は年3回、高校3年では年4回の学力テストを実施し、効果的な学習指導を行えるようにしています。
また、国際基督教大学や青山学院大学などのキリスト教学校教育同盟校への推薦入学(指定校)制度があります。その他にも早稲田大学、慶應義塾大学、学習院大学などへも推薦入学(指定校)制度があります。
〇国公立大学
東京大学3名
京都大学1名
東京外国語大学10名
東京学芸大学1名
東京工業大学5名
一橋大学3名
筑波大学3名
横浜国立大学6名
お茶の水女子大学2名など
〇私立大学
早稲田大学115名
慶應義塾大学72名
上智大学65名
東京理科大学23名
国際基督教大学3名
学習院大学5名
明治大学70名
青山学院大学48名
立教大学76名
中央大学25名
法政大学23名など
〇その他
Winchester Shoei College(ウィンチェスター頌栄カレッジ)7名
平成27年度学校説明会
〇平成27年度中学校説明会
第1回 6月16日(火)10時15分~12時20分(対象:一般生)
第2回 6月23日(火)10時15分~12時20分(対象:帰国生)
第3回 10月13日(火)10時15分~12時20分(対象:一般生・帰国生)
第4回 10月24日(土)13時00分~15時00分(対象:一般生・帰国生)
第5回 11月12日(木)10時15分~12時20分(対象:一般生・帰国生)
〇校内案内
2015年
10月:2(金)、5(月)、 9(金)、16(金)、19(月)
11月:2(月)、 9(月)、13(金)、16(月)、20(金)、27(金)、30(月)
12月:14(月)
2016年
1月:15(金)、18(月)、22(金)、25(月)
※案内時刻はいずれも 15時45分 と16時15分の1日2回になります。
※予約が必要です。ご希望の方は電話でご予約ください。